3.波動 16.ドップラー効果_円運動する音源   難易度★★★★☆

3. 波動

【Ⅰ】暮らしの中で、ドップラー効果を確認できる分かり易いものの一つとして救急車のサイレンが挙げられる。 実際には、サイレン鳴らしている救急車は観測者と一直線上の道路にはおらず、走行している救急車から離れてサイレン音を聞いている場合でも、音の高低の変化を確認する事ができる。

ここで、簡易的に図1のように直線l上を走る音源 \(S\) が速度\(v\)で走行しているとする。

                   (図1)

観測者Pは、直線l上にある点 \(A\)から距離L離れたところにあり、直線lと点 \(AP\) のなす角度を \(θ \) とする。点\(P\)にいる観測者が聞く音の周波数を \(f\) とする。

(1)直線上lの点 \(A\) を通過した音源は、音の周波数の 1 周期後に点 \(A’\) を通過した。\(AA’\) 間の距離 \(x\) を表せ(但し、\(f_{0}\),\(c\) 、\(v\) 、\(L\) のうち必要なものを用いよ。)

(2)音源が点\(A\)を通過する瞬間に出す音波と、点 \(A’\) を通過する瞬間に出す音波が、点Pに到達する時間の差を \(t\)とすると、この \(\Delta t \)を、 \(f_{0}\),\(c\) 、\(v\) 、\(L\) ,\(θ\) のうちの必要なものを用いて表せ。(但し、距離Lが, \(A\) , \(A’\) の間の距離を \(\Delta x \) に比べて十分大きいときには、\(A,P\) 間の距離と \(A’\) ,\(P\) 間の距離の差は、近似的に、\(\Delta x \cos \theta\) で与えられることを用いてよい。)

(3)(2)で求めた時間差 \(\Delta t \) に注意して、点Pの観測者が聞く音の振動数 \(f\) を表せ(但し、 \(f_{0}\),\(c\) 、\(v\) 、\(L\) ,\(θ\) のうち必要なものを用いよ。)

【Ⅱ】次に、半径 \(R\) の円形コースを、振動数 \(f_{0}\) の音を出しながら、自動車が半時計回りに速さvで等速円運動をしている(図2参照)。自動車がコースを1周する時間時間は \(T_{0}=\frac{2\pi R}{\upsilon }\) で与えられる。自動車が出す音を、観測者が、円形コースの中心から\( L(>R)\) だけ離れた点 \(P\) で聞き、その振動数fの時間 \(t\) に対する変化を、最初に自動車が \(B\) 点を通った時刻を\( t=0 \)としてグラフに描いたところ図3のようになった。この図の中で、\(t_{B} , t_{C} , t’_{B} \)は自動車がこの順番に、図2の\(B\) 点、\(C\) 点、 \(B\) 点を通過した瞬間に発した音を点\(P\)で観測した時刻を表す。

                 図2                     図3

(4) \(t_{B} , t_{C} , t’_{B} \) を \(T_{B} , f_{0} ,c,R,L\) のうち必要なものを用いて表せ。

(5)点\(P\)で観測される音の最小振動数 \(f_{min}\),および,最大振動数 \(f_{max}\) を (3)(2)で求めた時間差 \(\Delta t \) に注意して、点\(P\)の観測者が聞く音の振動数fを表せ(但し、 \(f_{0}\),\(c\) 、\(v\) 、\(R\) ,\(L\) のうち必要なものを用いて表せ。

【Ⅲ】次に \(L=R\)の特別な場合(つまり、観測者がコース上にいる場合)を考えてみよう。ただし、観測者による自動車の進路妨害は考えなくてもよい。具体的には、\(L=R=\)1000〔m〕,\(c=\)340〔m/s〕, \(f_{0}\) =1000〔Hz〕, \(T_{0}\) =120〔s〕の場合に、点\(P\)(点\(B\)に一致)の観測者が音の振動数の時間変化を観測したとしよう。自動車が点\(P\)(点\(B\))を最初に通過する時刻 \(t\) =0とする。時刻tにおける自動車の位置は,\(\phi =\frac{2\pi }{T_{0}}t\)で与えられる角 \(\phi \) (図4参照)で指定されることに注意して、以下の問に答えよ。

(6)時刻tに自動車が出した音を点\(P\)で観測したときの振動数を \(f \) とする。\(f\) を、角度 \(\phi\) と、\(R,c,v、 f_{0} \)のうち必要なものを用いて表せ。また、その音が点Pに到達する時刻 \(t’\)を、\( R,c、T_{0} , \phi \) のうち必要なものを用いて表せ。

(7)点\(P\) で観測する音の最小振動数 \( f_{min}\) と最大振動数 \( f_{max}\) を、有効数字2桁で求めよ。

(8)観測する音の振動数が、\(t>0\) で初めて\( f_{0}\) になる時刻を,有効数字2桁で求めよ。

(9)点 \(P\) (点 \(B\) )で観測する音の振動数の時間変化を表すグラフの概略を、\(0 < t < 2 T_{0} \)の区間にわたって、右上図の所定の箇所に描け。

(大阪大 改)


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【解説】


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