3.波動 14.偏光と結晶光学   難易度★★★☆☆

3. 波動

光の波としての基本的性質には、振幅(明るさ)、波長(色)に加えて振動方向(偏光)がある。

これらの中でも、偏光は肉眼で直接識別できない為、直感的に理解しにくいが、液晶モニターの基本原理に活用されるなど、利用範囲は広い。偏光状態は、一平面内を振動する単純な直線偏光のほかに、円偏光、楕円偏光がある。これらは直交する 2成分の振動のタイミングの違い(位相差)だけで表現される。 ここで、図1に示すように、互いに直交する \(x\),\(y\) ,\(z\) 軸を取る。 \(O_{1}\) の位置に\(z\) 軸と垂直に偏光板 P を置き、その左側より平面波の光を \(z\) 軸に平行に入射させると、特定の方向に振動する直線偏光だけが偏光板 P を通過する。

                     (図1)

  直線偏光は偏光板Pでは、図1 \(x\),\(y\) 軸の正の方向と45° (\(\frac{\pi }{4}\)) の角をなしている。Pを通過した振動数\(f\)、振幅 \(A\)(電界の強さの最大値)の直線偏光は、 \(O_{2}\) の位置に \(z\) 軸と垂直に置かれた結晶板 C に入る、Cに入った光は結晶板に特有な互い直交する X,Y の2方向の電界成分を持つ2つの直線偏光に分解されて結晶内を進む。 これらをそれぞれ X 偏光、 Y 偏光とする。結晶内でのこれら2つの直線偏光の波面の進む速さはそれぞれ \(v_{x}\) , \(v_{y}\) である(ただし、 \(v_{x}\) < \(v_{y}\) とする)。

 結晶板のX方向とY方向をそれぞれ \(x\) 軸,\(y\) 軸と平行に座標軸を置き、下記の各問に答えよ。

 (ここでは、真空中の光速を \(c\) と置き、簡潔にするために結晶板による反射・吸収は起こらないものとする)

【1】偏光板Pを通過した直線偏光の電界の強さは結晶板に入射する光の電界ベクトルを分解して得られる。X偏光の振幅板に入射する光の振幅は \(A\) の何倍か

【2】X偏光に対して文中の記号を用いて表せ

  ①結晶の真空に対する屈折率

  ②結晶内での波長

【3】任意の時刻 \(t\) におけるX偏光の強さが、厚さ \(d\) の結晶板の左端で \(a\sin 2\pi ft\)(ただし \(a\)>0)であるとすれば、結晶通過後の右端ではどう表されるか

【4】結晶板の右端において速い波(Y偏光)の位相は遅い波(X偏光)の位相よりどれだけ進んでいるか(大きいか)を式で表せ

【5】 【4】で求めた位相の差が

   ①\(\frac{\pi }{2}\)のとき

   ②\(\pi\) のとき

 

\(z\) 軸に垂直に置かれたスクリーン S 上で、電界ベクトル \(E\)(その成分は \(E_{x}\), \(E_{y}\) )の先端の軌跡とその動く向き(図2の矢印)はどうなるのか図2から選んで答えよ。

 ただし、\(E_{x}\), \(E_{y}\) はX偏光,Y偏光が結晶板を出てスクリーンSに達した時の電界の強さである。

(図2)


【問題PDF】


【解説】


【解説PDF】

コメント